こんにちは。たま(@tama98172991)です。
NPPVは身近な酸素療法だけどみんな知っているかな〜
・NPPVをこれから学ぼうとしている人
・クリティカルケアに配属されたばかりの人
これもおすすめ
NPPVとは
Noninvasive Positive Pressure Ventilation(NPPV)
Noninvasiveとは非侵襲という意味で、つまりは気管挿管しないということです。
Positive Pressure Ventilationとは陽圧換気という意味です。
NPPVをBipap(バイパップ)と呼ぶ人もいます。
ですが、バイパップはフィリップスレスピロニクスヤ社の商品名です。
それで通じるのだから、よっぽど売れたんでしょうね〜。
NIVとは?
NIVとはNon-invasive ventilationの訳です。
CPAPや陰圧式の人工呼吸を含むものです。
大枠としてNIVがあり、その中にNPPVが存在することになります。
NPPVの特徴
- マスクで行う酸素化・換気補助
- 呼吸不全や睡眠時無呼吸症候群にも使用可能
- 基本モードはCPAP+PSV
NPPVの効果
- 調節可能な酸素濃度
酸素化の改善。 - 陽圧換気による換気補助
これによって呼吸仕事量の減少します。
すると、呼吸性アシドーシスが改善します。 - 胸腔内圧を陽圧にすることで左心系後負荷減少
自発呼吸の場合、胸腔内圧は陰圧です。
そのため、大動脈に血流を送り出すとき、心臓の力を大動脈の圧以上の圧をかけなければ送り出せません。
NPPVで胸腔内圧を陽圧にすることで、心臓は大動脈に血液を送り出す時に補助を受けることになります。
すると、心臓は大動脈の圧よりも低い圧で血液を送り出せることになります。
左心系の負荷(後負荷)が増大することで生じる心不全。
例えばCS1のような場合はNPPVが大きな効果を発揮します。
NPPVの回路
- インターフェイス
- 加温加湿器
- 呼吸回路
- モニター
NPPVはNPPV専用の器械と人工呼吸器を使ってNPPVモードで使う時があります。
NPPV専用の場合
・吸気回路1本
・マスクあるいは蛇管に呼気ポートがある
・リークを補正する
・換気モードが人工呼吸とは異なる
リークありマスク(呼気ポートあり)を使う場合:回路内リークはない
リークなしマスク(呼気ポートなし)を使う場合:回路内リークが必要
人工呼吸器のNPPVモードの場合
・呼気、吸気の回路が1本ずつある(合計2本)
・人工呼吸器は基本的にリークがあってはいけないというもので作られている
・リークなしマスク(呼気ポートなし)を使って、呼気回路を通過し、呼気弁から呼気を排出する。
リーク
リーク
呼気ポートからのintentional leak(10-20L/分)と
インターフェイスと顔の隙間からのunintentional leakから成ります。
NPPVを行う上では必須のリークです。
ベント
窒息防止弁、安全弁
NPPVから吸気が流入しない時の換気用に確保された孔のことです。
NPPVから吸気流入がある時には閉鎖しています。
ベントが塞がった状態で吸気流入がないと、窒息してしまうので注意が必要です。
NPPVのポイント
NPPV成功の秘訣!
- インターフェイス
- 加温加湿
- 適切な設定
- モニタリング
- 患者の協力
- 鼻マスク
- フルフェイス(口鼻)マスク
- トータルフェイスマスク
- ヘルメット
種類 | 鼻マスク | フルフェイス (口鼻マスク) | トータルフェイス | ヘルメット |
---|---|---|---|---|
導入時期 | 慢性期 | 急性期 | 急性期 | 急性期 |
死腔容量 | 150ml以下 | 260-300ml | 1500ml以下 | 1500ml以上 |
必要なEPAP (PEEP) | ー | 3cmH2O以上 | 5cmH2O以上 | 10cmH2O以上 |
高圧設定 | 難しい | 可能 | 可能 | 可能 |
開口使用 | 不可 | 可能 | 可能 | 可能 |
リーク | 少ない(口閉) | やや多い | 少ない | 少ない |
皮膚損傷 | 少ない | 多い | 少ない | 少ない |
特徴 | 口を開けると圧が かかりにくくなるため、 高圧では使えない |
マスクのサイジングポイント
・覆うべき部分(鼻、口、顔)をしっかり覆えるものを選ぶ(S.M.L)
・マスクの縁が目に当たらない(ずっと当たっていると結膜炎などになる)
・マスクで鼻孔が閉塞しない
・開口しても唇がはみ出ない
・患者の皮膚やマスクのクッションがよじれていない
マスクフィッティング
・最初にマスクを手で保持して当ててみる
・ヘッドストラップを軽めに装着する
・口(下)のストラップを左右対称に引き、固定する
・前額(上)のストラップを左右対称に引き、固定する
・顔面の正中線とマスクの正中線が一致するように、マスクの角度を調整する
皮膚障害(MDRPU)の予防
NPPVを継続する上で重要なポイントです。
・適切なフィッティング状態 リークを容認
手をマスク周囲にかざした時、はっきりとしたリークがなければ容認
モニター上のリーク 20ー60L/min程度
・圧迫部位の保護
クッションを潰さない
保護材を使用する
NPPV専用機種における換気モード
・CPAP (シーパップ)
吸気呼気ともに一定の気道内圧を保つ
・Spontaneous モード(スポンティニアスモード)
自発吸気をサポートする。PEEP(EPAP)+PS(IPAPーEPAP)
・Timedモード(タイムドモード)
あらかじめ設定した呼吸回数とIPAP時間に従って調節換気を行う
・S/Tモード(エスティモード)
自発吸気に応じてSモードで作動するが、一定時間自発吸気が検出されないとバックアップとして調節換気が行われる
・PCVモード(ピーシーブイモード)
S/Tモードと同じく、IPAP、EPAPを負荷して換気補助をするが、設定された吸気時間でIPAPを維持する。
IPPVのPCVに相当
・AVAPSモード(エーバップスモード)
設定した1回換気量を維持するように、IPAPを設定範囲内(Max P-Min P)の間で自動調整する
IPAP設定範囲を決め(例えば20−10)、設定した1回換気量が維持できるように調節してくれる
自発呼吸がしっかりあれば圧を下げて、自発呼吸が弱ければ圧を上げて調整する
IPPVの圧制御式Volume Control(PRVC)に相当
モード以外の機能
・Rise Time(ライズタイム)
吸気開始からIPAPまでの到達時間(気道内圧波形の立ち上がり時間)を表す。
短いと圧迫感を感じ、長いと吸気流量の不足を感じるため、患者自身の呼吸パターンに合わせて調整
・CーFlex機能(CPAPモード)(シーフレックス)
呼気時にフローを緩めることで圧を少し下げ、呼気の抵抗感を減弱させる
NPPVの使用は自発呼吸がある患者が前提となります。
呼吸苦が強く不穏状態の患者もいますが、意識が清明な場合も多いです。
NPPVによる送気や陽圧を受容できない場合も十分にあります。
その際、NPPV成功の秘訣としては患者の協力が不可欠です。
看護師は患者が協力できるように、NPPVの必要性の説明を繰り返し行うことや
苦痛を傾聴し、想いを吐き出せる環境を整えることが大切です。
少しでも抵抗なくNPPVの導入ができるように、低圧・高濃度酸素から開始することもあります。
NPPVを使うことで楽になることを実感できることでスムーズに治療に進めます。
ゴールを確認する
気管挿管を希望するのか?
希望する場合は、どの時点で気管挿管に移行するのか、医師と共通認識を持ちましょう。
NPPVおすすめ書籍ランキング3
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] あわせて読みたい NPPV基礎をマスターする|NPPVとは|NPPVのポイント|初期設定|開始後の評価とは こんにちは。たま(@tama98172991)です。NPPVは身近な酸素療法だけどみんな知ってい […]